【コミック】奈緒子
『奈緒子』は、原作:坂田信弘、画:中原裕による陸上漫画作品。
父親の才能と異名を引き継ぎ日本海の疾風と呼ばれる天才ランナー
壱岐雄介の成長物語。短距離、駅伝、マラソンといくつかのシリーズ
にわかれている。主人公の住む波切島は架空の島だが、壱岐市が
モデルとなっている。
小学館発行の「ビッグコミックスピリッツ」にて1994年から2003年まで連載。
単行本は『奈緒子』全33巻と『奈緒子 新たなる疾風』全6巻の計39巻。
文庫版は全25巻で発売されている。
【コミック文庫版】「奈緒子」 全25巻
「奈緒子 新装版」全12巻
【コミック】奈緒子 全33巻
アマゾンカスタマーレビューより
原作の坂田信弘氏は多くの漫画の原作を手がけていますが、「風の大地」とこの「奈緒子」が白眉だと思います。
1巻の最初から、主人公の壱岐雄介(小1)にも、そして、本書のタイトルである、そして全巻にわたってモノローグを担当する篠宮奈緒子(小4)にも、過酷な運命が襲います。
奈緒子は運命の悪戯とはいえ雄介を傷つけ、そして雄介もその純粋さ故に奈緒子を傷つけます。
どちらが悪いのでもない。でも読んで涙がこぼれる。こんな小さな子どもたちにこんな過酷な運命を与えて良いのかと。
雄介君はいい子です。父ちゃんや母ちゃんや兄ちゃんの大介君が好きで、走るのが好きで、誰からも愛される子どもです。
雄介君の夢は、父ちゃんが走れなかったマラソンで日本一になること。これは、父ちゃんとの約束です。
雄介君の陸上デビューは小1の運動会。
そして、雄介君は小4のとき、小6の宮崎君と出会います。宮崎君は言いました。「俺は駅伝が好きだ」
この物語は、雄介と奈緒子の物語であり、心と心をつなぐ、駅伝の物語でもあります。
感涙必至の物語です。壱岐雄介という心の優しい少年の成長の物語です。
この本を、手にとって下さい。
すごすぎる、この漫画。漫画ってサブカルチャーですけど、それが一種の芸術になってしまいましたね。すごい!!
一般に文学の定義を挙げておくと:言葉によって感情や思想などを表現した芸術作品
となりますが、まあ漫画の場合は絵と言葉ですね。
でこの絵と言葉でなにが表現されているのか?
まさに必死で生きる人間の悲しさですね。必死で生きていけばいくほど悲しさが増すということをこの漫画は的確に表現していると思います。
父親を事故で失った主人公:雄介はとにかく走ります。必死に必死に走ります。駅伝で、マラソンで。それは走るのが好きで負けたくないという本能と仲間達の思いをしょっているから、そしてなにより雄介が必死で生きているから。父親を失った悲しさと降りかかる過酷な運命から逃げずに必死に戦っているから。だから彼は一生懸命走る、手を抜くことなく。
これは他の登場人物たちにもいえることですね。雄介のライバルの本田。恩師の西浦、雄介の走り仲間達。皆人生を手を抜くことなく必死で生きている人たちばかりです。彼らの走る姿には感動させられますね。
それは彼らの走る姿には彼らの人生が凝縮されているからなんです。彼らの走る姿には彼らが必死で生きていることが表現されていてそれが私達の感動を呼ぶんでしょう。
でもなぜかその姿は・・とても悲しい。必死でいきる人間の姿は美しくそして悲しい・・・。このことを芸術的な絵で見事に描ききった中原さんにはただ感服するばかりです、本当に魂が絵にこもっていると思いますよ。これはもはや漫画ではなく、芸術であり文学であると思います。
図書館の片隅に置いてくれ!!これはもはや古典だ!
レビュー対象商品: 奈緒子 (1) (Big spirits comics) (コミック)
私はこのまんがが大好きです。走るのが大好きな雄介。雄介の周りでいろんなドラマが繰り広げられます。スポーツをやってる人の気持ち、少年の気持ち、大人の心。いろんなものがこのまんがにはつまっています。長崎の小さな島で繰り広げられる人間ドラマに一度触れてみてください。
走ってみると分かりますが、走っている時というのは様々な感情が湧いてきます。それは正に喜怒哀楽です。感情を爆発させながら走れることが、長距離走の魅力の一つかと思います。
この漫画はそれを見事に表現してくれました。
とても大好きな作品です。
2008年2月には上野樹里主演で映画化。